人生において旅は人を強くする。

18の頃、外国で一年過ごすことがあった。

筆舌に尽くしがたい苦労を負ったし、人生の中で宝物だと思える瞬間もあった。家族で懐かしむ時間であるし、人に言えない悔しさを抱えたりもした。

そうしたことの総体としての旅が今の自分を形作っていると思う。

しかし、どうしよう、今の私は出不精なのである。

妻が旅行をせがんでも、私はなかなか腰が上がらない。

とはいえ、毎月の記念日には休みを合わせて旅行に行くようにしている。まだ若い二人なので、そこは手軽なところがある。

旅行は決まって私の車(ダイハツのタント)で高速道路や有料道路を使わず、下道で目的地へ向かう。

埼玉県に住んでいるので、わざわざ来るまで東京へは行きたくない。さりとてあまりに遠いのは勘弁願いたい。そうすると大体近県にいくことになる。

先月は山梨県へほうとうを食べに行き、ついでに妻の好きな猫のダヤンの美術館へ行った。
先々月は栃木へイチゴ狩りに行った。

どちらもくたびれたが、妻は喜んでいた。

18の旅のような苦労や悔しさはない代わりに、かけがえのない小さな妻の笑顔や喜ぶ顔が私の今を形作っているのかもしれない。

けんかばかりの未熟な夫婦だが、妻を喜ばせたいと感じる。永い旅程の中で、出会った小さな同伴者。このことこの先どんな旅ができるのか。楽しみである。